Mapping the Prompt — 日本語原文

Mapping the Prompt (MTP) は、生成AIとの対話を座標空間として可視化する軽量フレームワークです。20ノード分類に基づき、トーン・推論・ペルソナを座標で制御します。

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MTP UI スクリーンショット

TL;DR

  • Mapping the Prompt (MTP) は、生成AIとの会話状態を座標として可視化し、意図のすり合わせとプロンプト調整を行う軽量・汎用フレームワークです。
  • テキストの微調整を、UI操作(Vertex / Gizmo / 平均座標)に置き換えます。
  • 20ノード(A/B面)の分類に基づき、トーン・推論粒度・ペルソナ・ドリフトを座標で制御します。
  • SVG/CSS/JS の最小構成で実装可能。モデル非依存で主要 LLM に適用できます。

キーファクト

MTP のキーファクト
項目備考
名称Mapping the Prompt(MTP)略称は MTP に統一
目的会話状態の座標化・UI 操作化意図共有・ドリフト制御
分類A/B 面の 20 ノードStart/End を含む 1+9+9+1
UI 要素Vertex / Gizmo / Transformed Gizmo平均座標で重心を表現
実装SVG + CSS + JS最小構成デモが容易
適用主要 LLM(モデル非依存)理念・安全ポリシーに合わせ調整
ライセンスMIT License© 2025 Kohen

1. 概要

MTP は、生成 AI(LLM)との対話を「座標空間」として捉え、意図やトーンを視覚的に指定するためのフレームワークです。NLPアルゴリズムではなく、人間とAIの共通インターフェースとしての軽量な座標フレームワークを提供します。

セッション状態の可視化(重心の推移)
MTP の最小 UI 例(座標指定ハンドルと分類)

2. コンセプト(着想・思想)

会話を「宇宙のような情報空間」と見立て、ユーザーが設定する文脈=銀河、モデルのブレや固執=ドリフトやブラックホールとして説明します。
MTP はこれらを座標として定義・操作し、「会話の地図」を UI で扱えるようにします。

思想面では、東洋の五行(木・火・土・金・水)を基礎に、西洋哲学(テクネー/エロス/ロゴス/カオス等)と便宜的に対応づけ、直感的理解を助けます。
詳しくは GitHub の ドキュメント ↗ をご参照ください。

五行と西洋哲学の便宜的対応
五行と西洋哲学の対応(UI 理解の補助)

3. A/B 面の 20 ノード構造

A 面 10 ノード(1 + 9)

20 ノード構造(A面/B面の概略)
20 ノードの概略配置
#ノード漢字役割キーワード
1Start選択色Gizmoイントロ・春・始動
2Open左上開く・提供
3Power推力・高揚
4Returnマゼンダ右上回帰・反転
5Grow成長・積層
6Helix透明中央螺旋・中立
7Focus焦点・白紙
8Enterシアン左下到着・浮かぶ
9Flow1/f・連鎖
10Close右下余白・小結

B 面 10 ノード(9 + 1)

20 ノード構造(B面の概略)
B 面の概略配置
#ノード漢字役割キーワード
11Still暗い黄左上静止・平穏
12Void暗い赤虚無・空白
13Surge暗いマゼンダ右上爆発・雷
14Wither暗い緑萎む・落葉
15Collapse半透明中央崩落・変容
16Hazeグレー霞み・淡い
17Drift暗いシアン左下漂流・浮遊
18Abyss暗い青深海・重低
19Fade暗い紫右下減衰・薄明
20End選択色Transformed Gizmo終・祈り・ブレーキ

4. UI 操作と座標指定

  • Vertex: 分類アンカー(特徴点)
  • Gizmo: 複数 Vertex の平均座標(セッション重心)
  • Transformed Gizmo: ユーザーが指定する目標座標(出力トーンを直接制御)
座標でスタイルを指定するUI(Vertex と Gizmo)
座標操作(Vertex と Gizmo)

Return(マゼンダ)は、視点反転・軽いリセット・対立仮説提示などの非線形な転換に用います。中央の Helix / Collapse は調整・圧縮などワイルドカード的に機能します。

5. グリッドとセッション可視化

内部は囲碁のような格子(例: 19×19)で保持しつつ、UI では色相環や簡略配色へ抽象化します。セッション履歴は座標遷移として描画し、ドリフトを可視化します。

グリッドと抽象化(内部表現と表示層)
グリッド(内部)と抽象化(表示)

6. 使いどころ(トーン・推論・ペルソナ)

Tone Context(文章スタイル)

トーンを座標方向で即時切り替え。例:Open×Grow(ブレスト初期)、Power×Void(強訴求)、Return×Focus(要約・骨子)。

トーン切替の例(方向と重心)
トーン切替(方向と重心)

ペルソナの可視化

簡易ペルソナ(例:Cynic / Listener / Robot / Nerd)を座標にマップし、会話の偏りや変化を制御します。

ペルソナの可視化(スタイルと座標)
ペルソナと応答スタイル

Reasoning Level(推論の深さ・粒度)

中心ほど低コスト即答、外側ほど多段の根拠・比較・反証を伴う構造化応答。例:Power=積極推論、Flow=簡潔、Grow=発散、Focus=深掘り。

Multi-Step Reasoning(思考プロセス可視化)

色や軌跡で推論フェーズを可視化。過去 Vertex を参照し、方針修正を UI で行えます。

7. 実装の方針(最小構成)

  • 描画: SVG 基本、CSS で配色、JS でドラッグ/クリック/ホバー。
  • 状態: Vertex / Gizmo / Transformed Gizmo を最小単位に。
  • 接続: LLM API への変換は疎結合アダプタで。
  • 縮退: 画像・配色のみのスタンドアロン UI としても成立。

8. FAQ(よくある質問)

MTP は数値評価やベンチマークの枠組みですか?

A: いいえ。MTP は定量ベンチマークではありません。曖昧で感覚的な印象を座標で共有するための仕組みです。価値は体験・共感・表現の拡張にあり、数学的な精度検定というより UI/建築に近い発想です。

導入には A/B テストなどの定量的な効果検証が必須ですか?

A: 必須ではありません。従来手法(A/B、各種メトリクス)は併用可能ですが、MTP の核は統計的証明ではなく、ユーザーの意図が伝わり・受け取られたという実感です。主たる問いは「示した座標を AI が理解した感覚があったか」です。

MTP は計測システムですか?

A: いいえ。MTP は指さしと共有のシステムです。ユーザーが座標で「この感じ」を示し、AI は「だいたいここですね」と応答します。絶対値ではなく、共有された焦点が重要です。

数値化しないなら、MTP はどのような価値を生みますか?

A: トーン・空気感・ニュアンスなど、微妙な印象の伝達解像度を高めます。夕焼けの「オレンジ感」や会話の「重さ」など、主観的体験の整合を両者で合わせられることが実利です。数値スコアではなく、主観の整合がユーティリティです。

MTPの出力はAIモデル間で標準化できる?

A: 厳密にはできません。MTPはモデル非依存(model-agnostic)なので、GPT・Claude・Geminiなどに同じ座標を適用できますが、出力結果は異なります。その「違い」こそ設計の一部です。MTPは同一出力を強制するのではなく、モデルが違ってもユーザーとAIが共通のインターフェースで認識を合わせられる点に価値があります。

あいまいさは精密なプロンプトより弱点では?

A: MTPにおける曖昧さは意図的であり、機能的です。ノイズではなく、過度に具体化せず方向性を調整できる「柔軟な制御レイヤー」として働きます。これにより、硬直した正確さよりも自然で創造的で、人間的な協働が可能になります。

MTPはプロンプトライブラリやテンプレートとどう違う?

A: プロンプトライブラリはあらかじめ用意されたテキスト指示を提供します。MTPは代わりに「座標系」を提供します。つまり「この文章をコピペ」ではなく「この領域へ移動」という操作です。そのため、テキストを書き直すよりも素早く、視覚的に適応・反復できます。

MTPにおける「成功の単位」は何?

A: 成功はスコアや数値で測るものではありません。参加者が相互認識を感じられたかどうかが基準です。ユーザーが「これを意味していた」と言い、AIが「わかった、このあたりですね」と応じる。そのやり取りの感覚が、MTPにおける成功の単位です。

9. 用語集

MTP 用語集
用語定義同義/表記揺れ
Vertex分類アンカーとなる座標点特徴点
Gizmo複数 Vertex の平均座標。重心。重心ハンドル
Transformed Gizmo目標座標。出力トーンの直接指定。目標ハンドル
ドリフト意図からの逸脱。重心のズレ。セッションの漂流

10. 変更履歴

日付変更点
2025-09-01v2025-09-01 - ja/README.md と ja/CONCEPT.md を統合。
- FAQ 初期入力(GitHub Discussions #1)を反映。
- 英語版の公式ページを新規作成。

11. ライセンス

Copyright © 2025 Kohen — 本プロジェクトは MIT License ↗ のもとで公開されています。

12. 参考リソース

詳しくは GitHub のドキュメントや関連リソースをご参照ください。